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「Innovation Nippon」がこれまでに公表した研究会報告書の内容を、視覚的に理解できるインフォグラフィックスにしました。

情報公開請求制度とオープンデータ政策

「情報公開=知らせるため」「オープンデータ=使ってもらうため」目的で区別される2つの制度は、利用者が情報を入手する点で共通しています。情報公開請求制度を調べることでオープンデータへのニーズや課題が分かるのではないでしょうか?

ニーズがある情報は何か?

全請求の7割が「金入り設計書」と「一覧・台帳」に集中
「金入り設計書」の川崎市の傾向。請求された設計書の名称から、傾向を分析したら…。工事の種類としては「補修工事、改修工事、舗装工事、設置工事」が多かった。工事の場所としては帯情報などの「市道、学校、公園、道路」が多かった。内訳。金入り設計書...57.9%。一覧・台帳...12.0%。その他...33.4%。
法人による請求が多い
主に法人によって請求されており、商用目的である可能性が高い。川崎市の設計書請求と全請求における「法人・個人」の割合。金入り設計書...86%。全請求...70%。

オープンデータ化は可能か?

請求に対する開示率は高い
「金入り設計書」...「全部開示」での提供が多く、「非公開」は少ない(堺市・広島市を除く)。担当部署や常設の情報提供スペースで「金入り設計書」を閲覧・複写できるようにし、情報公開請求手続きを必要としないよう手続きの簡易化をしている自治体もある。「一覧・台帳」...ほとんどが「全部開示」であったといってよい。「食品営業許可台帳」の情報を自治体外部の企業が多数請求していることがアンケート調査で判明。飲食店や病院・理美容所の情報を提供するサービス、B to B企業が全国的に同様の請求をし、マーケティングに使用しているようである。
デジタル化コストは低い
デジタル化が進んでいる「工事設計書」「食品営業許可台帳」は、個人・法人情報の取扱いに注意すれば、オープンデータ提供はしやすい。
「工事設計書」のとりまとめは自治体の負担感が大きい。請求過多で作業量と請求にかかる手数料が見合っていないという意識も。
請求件数の第4位「道路平面図・位置図」は、現状は「紙のみの保存」が多い。これらも「部分開示・不開示」対応は少ない。担当課では大判印刷が不可能、カラーでの開示はトナー代がかさむという課題をクリアすればオープンデータ化は可能とみられる。
商用目的とみられる公開請求の多い文書の管理方法。紙...52.4%。デジタル...24.4%。両方...23.2%。「デジタル」のみと「両方」を合わせると約45%がデジタルで管理。公開請求の多い文書は、請求への対応に大きなコストがかかっていると思うか?はい...47.1%。いいえ...52.9%。デジタルデータを所有していても、紙での提供を基本とする自治体も複数存在。非開示にすべき情報の誤流出や、開示のための編集作業によって文書の体裁や関連データが思わぬ変動をしてしまうことを懸念。

オープンデータ化を進めることで…

行政のコストを減らせる
ビジネス利用の促進を期待できる
テキスト分析調査。6 都市。仙台市、川崎市、相模原市、堺市、広島市、福岡市。
アンケート調査。72 自治体。47都道府県、20政令市、6一般市区。
ヒアリング調査。5つの地方自治体。5地方自治体。
研究会報告書
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レポート作成:庄司昌彦(国際大学GLOCOM)/本田正美(東京大学情報学環)/青木祐一(早稲田大学マニフェスト研究所)/渡辺智暁(国際大学GLOCOM)

インフォグラフィックス作成:矢崎裕一

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