Innovation Nipponは、国際大学GLOCOM が、グーグル合同会社のサポートを受けて2013年に立ち上げた研究プロジェクトです。
情報通信技術(IT)を通じて日本におけるイノベーションを促進することを目的とし、法制度や、産業振興・規制緩和等の政策のあり方、ビジネス慣行などに関する産学連携プロジェクトを行い、関係機関の政策企画・判断に役立ていただくための提言などを行っています。
Innovation Nipponは、国際大学GLOCOM が、グーグル合同会社のサポートを受けて2013年に立ち上げた研究プロジェクトです。情報通信技術(IT)を通じて日本におけるイノベーションを促進することを目的とし、法制度や、産業振興・規制緩和等の政策のあり方、ビジネス慣行などに関する産学連携の実証的なプロジェクトを行い、関係機関の政策企画・判断に役立ていただくための提言などを行っています。
近年のAI技術の進歩により、生成AIは文書作成、画像生成、音楽制作など、あらゆる分野で実用化の閾値を超えてきており、日本における利用率も急増しています。これらのAIは、社会のあらゆる側面に影響を与え、人々の生活を大きく変える可能性があり、労働力不足の解消、生産性の向上、情報のアクセシビリティの向上等、様々な恩恵を人々にもたらすことが期待されています。
他方、偽・誤情報と影響力工作問題、著作権の侵害、プライバシー侵害、有害コンテンツの生成・拡散等、生成AIのリスクも存在しています。そのため、生成AIが社会に広く受け入れられ、その恩恵を人々が享受するには、その機能・限界・リスクを理解し、適切に利用できる能力、すなわち人々のAIリテラシーの向上が重要となります。以上のようなことから、日本政府も内閣府「イノベーション政策強化推進のための有識者会議「AI戦略」(AI戦略会議)」を立ち上げるなど、活発な議論が行われています。また、総務省でもAIリテラシーの啓発に力を入れており、関連する検討会が立ち上がっています。
しかし、生活者に急速に普及が進む中、日本における生成AIの社会的影響、生成AI活用実態とその効果、AIリテラシー水準などについて、十分な実証研究が蓄積されているとは言い難く、不明瞭な点が多いのが現状である。一方、政策や企業の施策はエビデンスベースで検討すべきであり、早期の実証研究が望まれています。
このような背景から本研究では、日本において、生成AIがどのようにイノベーションを促進して社会的に良い影響をもたらすか、生成AIにどのようなリスクが考えられてそれは社会にどのような悪い影響をもたらすか、生成AIの利用実態、生成AIに関する理解度・リテラシー、生成AIの社会受容性などを実証的に調査研究し、政府や企業、業界団体、人々に資する5つの含意を導きました。
調査研究によって、日本における適切な生成AIの活用及びそれによるイノベーションを促進し、人々が効果的かつ倫理的に活用するための基盤を築くとともに、生成AIの開発、教育、政策策定などの一助となることを期待しています。
【本研究から導かれる提言】
1.わが国においても生成AIは今後も普及拡大していくため、適切に活用が促進されるような施策が求められる
2.生成AIの適切な利用に関する啓発を促進し、格差なく多くの人が生成AIによる利便性を享受できる社会を作る
3.適切な利用方法を示すような事例集、導入する際のガイドライン、セキュリティ対策について、幅広く啓発を進める
4.生成AIについて、実際に活用されている方法の啓発を進める
5.官民双方において、プライバシー保護、セキュリティ対策、透明性、犯罪の対策、偽・誤情報対策、倫理的使用に関するガイドラインなどの観点から、生成AIについて多角的な対策を充実させることで適切な利用を促進する
【調査研究プロジェクトメンバー】
‒ 山口 真一(国際大学GLOCOM 准教授・主幹研究員)
‒ 渡辺 智暁(国際大学GLOCOM 教授・研究部長・主幹研究員)
‒ 逢坂裕紀子(国際大学GLOCOM 研究員)
‒ 谷原つかさ(立命館大学産業社会学部准教授/国際大学GLOCOM客員研究員)
‒ 大島英隆(国際大学GLOCOM客員研究員)
‒ 井上絵理(国際大学GLOCOM主任研究員)
‒ 田邊新之助(国際大学GLOCOMリサーチアシスタント)